ウイルスが広まる条件

二次感染で社会に広まるかどうかを数式で判定できます。

ウイルスが広まる条件:イラスト

感染が拡大するかどうか

世界を驚かせた新型コロナウイルスのように、ウイルスがどのようにして広まるかは、とても重要な問題です。すべてのウイルスが大規模に広がるわけではありません。実際には、ごく少数の人に感染した後に消え去るウイルスも存在します。この違いを理解するためには、ウイルスが広がるための条件を知る必要があります。ウイルスには、人から人へと感染する能力がありますが、この能力は無限ではありません。ウイルスの活動期間、つまり「生涯」が存在し、この期間内にどれだけ多くの二次感染を引き起こせるかが、そのウイルスが広がるかどうかの鍵を握っています。ウイルスの生涯を時間「T」で表し、、一定時間内に起こすことのできる二次感染の数を「β」と表しましょう。これら二つの値を掛け合わせた「R0(=β*T )」は、ウイルスがその生涯の間に引き起こす二次感染者の平均数を示します。R0が1未満の場合、ウイルスは1人に感染しても平均して1人未満にしか感染を広げることができないため、感染は徐々に減少していきます。しかし、R0が1以上であれば、ウイルスは1人からさらに多くの人へと感染を広げることができ、感染は拡大していきます。

指標R0(基本再生産数)

この原理はウイルスの感染拡大だけでなく、新しい地域に外来種が侵入する場合や、新しい市場に投資家が参入する場合など、さまざまな状況にも適用されます。つまり、ある環境内で個体がどれだけ増えることができるかを示す指標として、R0は非常に有用です。
このようなウイルスが広がる条件は、そのウイルスが人から人へとどれだけ効率良く感染を広げることができるかに依存します。R0の値は、ウイルスがどの程度感染力が強いか、そして感染した宿主がどの程度の期間で感染を他人に広げる可能性があるかを示すため、感染症の予防や対策を立てる上で非常に重要な指標となります。ウイルスの広がり方を理解し、適切な予防措置を講じることは、大規模な感染拡大を防ぐために不可欠です。

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