コラム – 人類と数理
古代の数理
木や骨に付けた傷で獲物の数を記録していた太古の昔から、人類は実世界の物事を抽象的な「数」として表す便利さを知っていました。そして、数を巧みに表す「数字」を発明し、数学という学問が生まれました。
現代につながる60進法の数学
時間や角度を表す数字には、60や60の倍数がよく現れますが、これは古代バビロニアの数学がはじまりです。古代バビロニアでは60をひとまとまりに位を上げる60進法という表し方を使って、高度な数学を発展させました。60進法による計算は、暦の制定などに必要な精密な天文計算に使われ、その後も、惑星の運動に関する数式を導いたケプラーの時代まで使われていたようです。
中世〜近代の数理
数学によって数や図形のさまざまな性質が分かってくると、その性質から実世界を理解し、利用する工夫が重ねられてゆきます。世界の姿を明らかにしようとする科学と、正確さや真正さを裏付けてくれる数学は両輪のように発展し、近代の科学や技術が育ってゆきました。
現代の数理
現代では、膨大なデータから現実世界をシミュレーションできるコンピュータの登場によって、世界の理解や新しい発見、技術開発が飛躍的に進んでいます。これからも人類は、数理を駆使して世界を切りひらいてゆくことでしょう。
インターネットの安全と素数
1とその数でしか割り切れない7や13のような数を「素数」といいます。2つの大きな素数を掛け合わせることは比較的簡単ですが、掛けた値だけを見て、元の素数を割り出すには、膨大な計算が必要です。この性質を利用して、2つの大きな素数の掛け算から、ひと組の鍵を作る暗号方式(公開鍵暗号)が生まれました。元の素数が分からない限り、一方の鍵で暗号化したデータはもう一方の鍵でしか解読(復号化)できない、という性質があるため、インターネット社会の安全を守るために広く使われています。
数学の世界で活躍する日本人
伊藤 清(1915-2008)は、数学の一分野である「確率解析学」における功績により、社会の技術的発展と日常生活に対して優れた貢献をなした数学者に贈られる賞である「ガウス賞」の第1回受賞者となりました[2006]。伊藤の成果は、現代の金融工学・経済学などの発展にも大きな影響を及ぼしています。
また、1936年に創設され、数学で最高権威の賞の一つとされる「フィールズ賞」も、これまでに3人の日本人(小平 邦彦[1954]、広中 平祐[1970]、森 重文[1990])が受賞しています。
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宇宙は138億歳
数理を使えば、重力の方程式と観測からこんなことまで分かってしまうのです!
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祝日「春分の日」の決め方
太陽をめぐる地球がいつどの位置にいるかは運動方程式で予測できます。暦の「春分の日」が何日になるかもこうして決まります。ものの動きを数学で表すことは、予測や制御など多くの場面で使われています。
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台風の進路予測
気温や風など条件を少しずつ変えた計算を何度もして予測しています。そのばらつきで予想の範囲もわかります。
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年代測定のマストアイテム
放射性炭素は、全ての生きものの中にあって、死ぬと一定の割合で減ってゆくので、その量をはかると生きていた年代を知ることができます。変化の仕方が分かっているものは、数理を使うとモノサシになるのです。
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湖の魚の数え方
一部の魚に目印をつけておけば、とれた魚の数と、その中の目印のついた魚の数から、湖全体の魚の数を推測できます。一部から全体を知りたいとき、数理はとても便利に使えるのです。
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ウイルスが広まる条件
二次感染で社会に広まるかどうかを数式で判定できます。
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脳のひらめきの数式
創造や共感が生まれる脳の仕組みも数式であらわす研究が進められています。
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薬の量と飲む回数
飲んだ薬が時間とともにどれくらいうすまるのか分かれば、薬が適切に効き続けるために1回の量と飲む回数をどうすべきか分かります。変化のしかたを数学で表せると、予測したり制御したりできるようになるのです。
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「オススメ」のしくみ
好みや前に見たサイトなどの情報から、統計的に選ばれています。
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次の一手をどうするか
お互いの選択肢や損得を数値化して分析できる「ゲーム理論」。有利な手の発見や、社会のルールづくりに役立てられています。数理は、こうした複雑な対象も数学で扱うことができるのです。
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マンホールのふたの形
穴に絶対落ちないように、どこを計っても幅が同じ「定幅図形」の円が使われています。いろいろな図形の性質を知っていると、何かをしたり作ったりするときに、よりよい方法がみつかるのです。
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安全なカーブのカタチ
安全なカーブには、曲がり具合の変化が一定の曲線が使われています。
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乗り換えのルート検索
駅と路線を点と線で表し、そのつながり方をあつかう「グラフ理論」で効率的に探しています。
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新物質の開発
シミュレーションを使うと、ぼう大な実験をはぶいて新物質を探せます。
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人工知能(AI)
発展に数理は深くかかわっています。誰もが使いこなす時代に向け注目です。
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量子コンピュータ
すべてを順に調べると膨大な回数を必要とする問題も、量子の「重ね合わせ」によって全体をひとまとめにして計算すると、大幅に少ない回数で答えを見つけることができます。
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コラム – 人類と数理
木や骨に付けた傷で獲物の数を記録していた太古の昔から、人類は実世界の物事を抽象的な「数」として表す便利さを知っていました。そして、数を巧みに表す「数字」を発明し、数学という学問が生まれました。
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コラム – 表現と数理
人間が最も美しいと感じる比率といわれる黄金比(1:1.618…)。自然界や建築物に黄金比が見いだされるといわれ、様々な立場から議論が続いています。